
シリーズチャンピオンへ伝説のスポッターを招聘!
7月に入り季節は夏。シリーズ折り返しとなるラウンド4は宮城県のスポーツランドSUGOで、FDJ2ラウンド3との併催という形での開催を迎えます。前回のラウンド3ではケン・グシ選手にとってFDJ初となる単走優勝の華々しい成績を飾ったものの、続く追走トーナメントで暫定シリーズランキングトップの山下選手に敗退、9位というリザルトにとどまってしまい、シリーズランキングは一歩後退の4位へ。
そこまでの内容が良かっただけに惜しまれる結果となったラウンド3の悔しさをバネに、気持ちを入れ替えSUGOには必勝を期した準備を持って挑むこととなりました。

弊社でサーキットを専有することで木曜日からの非公式練習の機会を設け、新たにケン・グシ選手の専属スポッター役に北澤源吾氏を招き入れました。サスペンションメーカーDG-5の代表でもある北澤氏はかつて、D1GPにおいて今村陽一選手のシリーズ3連覇という偉業達成をその役割で支えた名スポッター。無線だけでなく、ドライバーがピットに帰って来てからも熱い指導が交わされ、早くもチームの緊張感が本番へ向けて高まっていくこととなります。

本戦となる土曜日の朝はFDJ2の練習走行から開幕です。続いてベスト16から始まる追走トーナメントも午前中に終了するという慌ただしいスケジュールで競技が進行。すると、チームカザマに所属し、昨年はFDJ、今年はFDJ2に参戦している長瀬幸治選手が決勝戦に進出。Mr.ダニエル選手に敗れ惜しくも準優勝となりますが、これでシリーズ3位の暫定順位にステップアップする活躍を見せました。

昨年はシリーズを通して同じカテゴリを戦い抜いた彼の活躍に、チームの士気も否応なく上がります。スポッターの北澤氏からの檄も飛び、チームからの期待はドライバーのケン・グシ選手に託されました。

ミスを最小限に抑え予選4位通過!
FDJ2の単走予選では通過ボーダーラインが78ポイントという比較的高得点となり、同じコースで審査が行われるFDJにおいても、予選通過をするには決して大きなミスができないという意識が全チームに共有されました。
そんななかでのケン・グシ選手の1本目、連続での単走優勝を目標に珍しく走行前にプレッシャーを感じていたと話します。出足は良く1コーナーへの飛び込み、アウトクリップをキレイに舐めるも、2コーナーで角度を付けすぎたことで3ゾーンへの振り返しが遅れ、リヤタイヤの脱輪判定。リズムを崩したまま4ゾーンもわずかにコースアウトとなり、得点は79ポイントと予選通過は確実視されるもドライバーにとっては不本意な点数となりました。

そこからは約2時間ほど間隔が空いて迎える2本目の走行まで、スポッターと細かい修正箇所のすり合わせを入念に行なったと話すケン・グシ選手。深い角度の飛び込みで1ゾーンをクリアし、先程のミスがあった2ゾーンも危なげなくクリア。ですが、3ゾーンの振り返しの距離を誤ったことでリヤタイヤの脱輪判定。すかさず4ゾーンまでの修正が間に合ったことで最小限の減点に済んだことが救いでした。
しかし、全体を通しても目立ったミスがあったのは3ゾーンのラインのみということで、結果は89ポイントと高得点を獲得。予選順位は4番手で通過することが叶いました。

Qualifying Result Pos.4
JUDGE SCORE 1st Run
LINE 23
ANGLE 30
STYLE 26
TOTAL 79 POINTS
JUDGE SCORE 2nd RUN
LINE 32
ANGLE 32
STYLE 25
TOTAL 89 POINTS

冷静な走りでトーナメント1回戦を勝ち上がる
TOP 32 BATTLE vs. 田中友紀(CHASER JZX100)
トップ32のバトルは、宮城県のSUGOまで熊本からの遠征参加となったJZX100チェイサーを駆る田中選手。普段から先行を走る際には後ろを意識しないことを心がけているというケン・グシ選手は冷静な走りで予選上位らしい先行の走りを披露します。対して、後ろを走る田中選手はケン・グシ選手との差を詰めていくも、インカット気味かつ角度が小さくなってしまったことが、後の審査に響きそうな印象でした。
前後を入れ替えた走りでも、ケン・グシ選手が意識したのは先行車両をあまり意識しない、自分のできるベストなドリフトでした。1本目ほど距離を詰めた走りではありませんでしたが、後追いながら先行の田中選手に勝る角度の深さとラインの正確さを見せ、前評判通りの順当な勝ち上がりとなりました。

車速の速い相手にも惑わされることなく勝利!
TOP 16 BATTLE vs. 高璇(SILVIA S13)
続いては中国出身、FDJにおいては唯一の女性ドライバーであるエコー・ガォウ選手とのトップ16の対戦です。1回戦では優勝経験もある益山選手に勝利し、調子を上げてきている相手との戦いは全く油断できない勝負となりました。
まずはケン・グシ選手が先行となる1本目。「S13は元々軽いボディですし、(斎藤)ダイゴが作ったマシンだけあってめちゃめちゃ速度がありました」とケン・グシ選手。1コーナーのアプローチから大きく距離を詰められ、このままでは相手に大きくアドバンテージを取られてしまうかという状況。しかし、それによってエコー・ガォウ選手の2ゾーンのラインが狭くなり、振り返しのタイミングが遅れたことで3ゾーンにて3輪脱輪のコースアウト判定。1本目はケン・グシ選手が大きなアドバンテージを得ることに成功しました。
今度は後追いとなったケン・グシ選手は先行のスピードに惑わされずに、再び深い角度と正確なラインで追走したものの、トップ32よりも先行に引き離される格好となったことが勝負に響きそうな内容でした。
結果は1本目の相手のミスが大きな減点対象となりケン・グシ選手の勝利。一瞬ヒヤッとする場面もありましたが、常に冷静な走りを続けたベテランの一日の長を認めさせた対戦だったといえるでしょう。

相手のミスを逃さずファイナル4進出!
GREAT 8 BATTLE vs. 髙橋和己(BMW E92)
グレイト8の対戦相手となったのは、シリーズランキング2位につけるTMSレーシングの高橋選手。ラウンド2鈴鹿以来の対戦となりますが、そこでは雨が得意なケン・グシ選手が地の利を活かして勝利しました。そして、今年初のドライコンディションでの戦いということもあり、ケン・グシ選手は特別なセットを用意してこの試合に臨みました。
「高橋選手はとにかく車速が速いんです。まずはストレートで置いていかれないようにリヤのエア圧をコンマ6まで下げて、トーをインにしてスピードを稼げるセットに変更しました」とケン・グシ選手。
先行の走りはこれまで同様、大きな角度とラインを重視したスタイルで走りきったことで、後追いでリズムの合わない高橋選手は3ゾーンの入口で行き場をなくしてインカットというミスを喫します。

これでまずは優位に立ったケン・グシ選手でしたが、後追いでは一切気を抜かず全力の走りを披露します。ホームストレートにおけるアプローチで大きなフェイントモーションを取った高橋選手に対して、ケン・グシ選手はあわや接触寸前のクロスラインによるノーモーションの振り出しを見せ、1ゾーン手前から角度をピタリと合わせたドアトゥドアの超接近バトルとなります。そこから2ゾーン、3ゾーンにかけてアクセル全開で引き離しにかかった高橋選手に対しても決して臆することなく、1テンポ早い抜き差しで頭を差し込み、明らかな形でのアドバンテージを後追いでもゲット。
ここまで微妙な差によるワンモアタイムが続き停滞していたムードのギャラリーの目を覚ますような追走で、ファイナル4進出の切符を手にすることができました。

スタート直後の不運が重なり苦い結末に…
FINAL 4 BATTLE vs. 張盛鈞(BMW E92)
ラウンド4以来のファイナル4進出を果たし、このまま決勝戦へ駒を進めたいケン・グシ選手の前に立ちはだかったのは、予選25位通過からここまで数々の強豪を退け勝ち上がってきた、今大会ダークホースの台湾出身ドライバーの張選手でした。
そんな勢いに乗っている張選手に対し、ケン・グシ選手が先行となる1本目。ベスト32から一貫して、単走上位を獲得した走りの完全再現といえるような全てのゾーンをキレイにクリアしていくドリフトをするケン・グシ選手に対して、距離こそ近いもののずっと行き場を探すような苦しい走りとなった張選手のドリフト。FDJの審査基準に照らし合わせれば、わずかにケン・グシ選手が優位なようにも見えました。
そして、入れ替えての2本目で大きなアクシデントが起こります。同じTMSレーシングのBMW・E92とのバトルであり、さきほどの高橋選手のようにスタートから決して離されることなくギリギリの勝負をするために全神経を集中していたケン・グシ選手。
スタートの合図に全開で張選手を追いかけていったところ、ラインが重なったタイミングで突然先行車が急ブレーキ。原因は張選手のパイロンタッチによってリスタートのための赤旗が振られたことにあるのですが、旗が振られるコーナーポスト、左ハンドルのケン・グシ選手のポジション、先行車両の位置とブレーキのタイミング、全てが悪い方向へ噛み合い、加速状態のIS500が追突してしまいました。
マシンは幸いにも走行に大きな支障のあるダメージではなく、エアロパーツの破損のみで済みましたが、ルールによって下った裁定はケン・グシ選手の赤旗無視。直接、審査に影響することはなかったものの、クラッシュの原因をこちらが作ったということで相手側の修理時間がプラスとなる判断が下されました。

そして、仕切り直しとなった後追いは先程のアクシデントが原因か、進入で距離を詰めきれなかったケン・グシ選手がそのまま大きく離される格好に。しかし、張選手も姿勢が安定しない場面が目立ち、3名のジャッジはワンモアタイムという結果を選択しました。
両者ともに満身創痍の状態で迎えた2回目となるファイナル4のバトル。ここでもケン・グシ選手はここまでの安定した先行の走りを崩さないまま、高得点となるドリフトを披露。しかし、2回目の後追いとなった張選手はケン・グシ選手のリズムを掴み始めていたことで、速度差に苦しい姿勢を感じさせつつも1度目の対戦よりは好印象を見せたのでした。
すると、入れ替えての追走では張選手にとって今大会一番と言えるような先行でのパフォーマンスを発揮し、ケン・グシ選手を大きく引き離してフィニッシュへ。これにて張選手が勝ち上がり、そのまま決勝戦では斎藤太吾選手を下しての初優勝を成し遂げたのでした。
ケン・グシ選手の最終リザルトは3位。シリーズランキング争いという点ではケン・グシ選手よりも暫定上位にいた3名が軒並みグレイト8以下での敗退となったことで、シリーズ3位への巻き返しが叶った大会となりました。
Tournament Result Pos.3
2024 FORMULA DRIFT JAPAN Point Ranking Pos.3

Driver comments
KEN GUSHI
「また3位、しかもSUGOでは2年連続なので、嬉しいけど今度こそ優勝したかったですね。今回もマシンの仕上がりはずっと良い調子で、途中なんどかトラブルもありましたがすぐにチームの皆さんが対処してくれたおかげで、クルマのことを気にする必要なく安心して走ることができました。
スポッターとしてやってきてくれたゲンゴさんの存在も大きかったです。自分の走りが客観的にどう見えていて、どこをどう修正すれば良いか、細かい指示を出してくれました。そのぶんプレッシャーもありましたが、ここまで正直に言ってもらえると自分にとって助かる場面のほうが多かったですね。
最後の対戦の追突は…自分の位置からは何も見えないまま相手のブレーキだけが光って…。どうしようもなかったですね。その後の対戦は張選手のスピードがとにかく速かったです。TMSの中でも先に戦った高橋選手より速くて、追いつけませんでした。今後は超軽量という利点を活かしてきている相手に対して、IS500でそのギャップをどう埋めていくかが課題になってくると思います」
Manager comments
風間 俊治
「単走優勝からトップ16敗退という非常に悔しい結果に終わってしまった前回を教訓に、このSUGOにはチームのドライバー、メカニック、スタッフ全員が勝つことに必死な姿勢を持って挑めるよう、様々な準備を整えてきました。そのひとつが、今村陽一を始め、様々な選手の優勝の影の立役者として活動してきたスポッターの北澤源吾氏の招聘です。
ケン・グシにスポッターとして要所要所で的確な指示を与えてくれたことはもちろんのこと、ピットでの北澤氏の存在感にチーム全体の空気が適度に引き締まり、良い緊張感を持って大会のスケジュールをこなせたのではないかと実感しています。
そして、優勝こそできなかったものの、SUGOにおいて2年連続となる3位表彰台を獲得できたことで、準備してきたものが良い形で結果につながったのだと受け止めています。
現時点でシリーズ3位につけ、ケン・グシは十分にシリーズタイトルが狙える数少ない立場にいる選手です。まずはそこに近づくためラウンド優勝を目指し、残りの2戦はこれまで以上の全力で挑んでまいります」

performed by Team kazama with Moty’s
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