
持ち味を活かせるハイスピードステージ!
第2戦鈴鹿ツイン、第3戦エビス西と悔しい予選敗退が続いた大湯選手。しかし、前回は土曜日に予選が終わると、その夜には敗戦を糧に拠点でのシミュレータでの練習に励んでいたというほどの熱意を見せていました。

そんな意気込みのもと迎える第4戦SUGOは、スーパーGT、スーパーフォーミュラといったレースキャリアで幾度となく走ってきた経験を持つ勝手知ったるサーキットです。加速しながらコース幅を大きく使って走るステージは、レーシングドライバーとしての持ち味を活かしたスライドコントロール、マシンを前に進めるトラクションコントロールの技術が最大限に活きる場所でもあります。

初参加ながら単走予選通過、追走トップ16進出という鮮烈な結果を残した富士スピードウェイとドリフトにおいては性格も似たサーキットということもあり、大湯選手に寄せられる期待度も自然と高まっていくのでした。

レースウィーク2日目、雨のなかで行われた午前のFDJ2単走予選に引き続き、FDJの公式練習走行が午後にスタートしていきます。すると、雨は振り止んでいたものの路面には雨粒が残り、練習走行の当初はハーフウェットに近いウェット路面となっていました。
翌日以降のドライコンディションを考慮して路面が完全に乾くのを待つチームもあるなか、ここぞとばかりに最初に飛び出していったのが大湯選手でした。状況続いたのはものの1時間程度ではあったものの、これまで本番でしかウェットを走る機会を得られなかった大湯選手にとって大きな経験となりました。

そして迎えた予選日、昨日の練習走行後半にはドライのセットアップをまとめあげ、今回こそは100%の力を出し切る単走予選のチャンスが訪れるかと思いきや、またも突然の雨による運命のいたずらが試練となって立ちはだかりました。
練習走行中にパラパラと雨が降り始めるも、路面を濡らしきるにはいたらず最後までコースコンディションはドライのまま。予選前半まで天候が持ちこたえれば、なんとか1本目はドライのままで…そんな期待もむなしく大湯選手にとって3度目のチャレンジとなる雨での単走予選を迎えることとなります。

エンジントラブルを乗り越えついに雨を克服!
チームの運命を左右することとなる雨脚は次第に強くなり、予選が始まるころの路面はフルウェットといえるほどのコースコンディションとなっていました。一方で、エビス西での大会を終えた2週間はずっと雨でも通用するミスの確率を限りなく減らすためのリスクの少ない安定したドリフトをする技術を身につける努力を繰り返してきたという大湯選手。加えて前日の練習走行の機会もあり、雨に対する準備という面では今までで一番のものができていました。
そんななか、自身の出走に向けてコースインした大湯選手に対して、予選を前にしてGR86のエンジンに不調が現れだしました。アイドリングから振動が大きくなり、ストール寸前になる場面もあったと大湯選手。タイヤを温めるウォームアップもエンジンパワーがなくまともにできなかったものの、仕方なくそのままの状態でスタートラインに向かいました。

そしてチェックランで常にアクセルを吹かし続ける方法を試したところ、雨もプラスに働きドリフトを維持できる程度になったと大湯選手。本番1本目の走行はそんな一か八かの状態で迎えたのでした。
スタートからの出足の良さはレーシングドライバーとしての本領を発揮しエンジン不調を感じさせないほどの飛び出しを見せ、いつもより早めに浅くフェイントモーションから振り返して1コーナーへのアプローチをスタートします。いつもならここでパキンと1回の振りで角度をつけていた大湯選手でしたが、1、2、3とリズムを取るようにそれぞれの角度で飛距離を伸ばしつつスピンするギリギリを見極めた飛び込みを披露。練習の成果が見て取れるほどの安定した走りでした。
そこからは持ち味となるアクセル主体のスライドコントロールでゾーンをクリアしていき、振り返して3コーナーへのアプローチも姿勢づくりを意識した終始安定感のあるドリフトで審査区間をミスなく抜けていきました。

そして1本目の走りは78ポイントを獲得。全員が雨のなか走った1本目だけの順位で10位という見事な成績を残したことで、予選通過が確実に。そのためチームとしてもエンジン不調の大事を取って2本目の走行をキャンセルし、翌日の追走トーナメントへ向けていち早くメンテナンスを開始することを決めました。最終的な順位は15位となり、開幕戦富士以来の決勝トーナメントに挑みます。

Qualifying Result Pos.15
JUDGE SCORE 1st Run
LINE 24
ANGLE 25
STYLE 29
TOTAL 78 POINTS
JUDGE SCORE 2nd RUN
LINE –
ANGLE –
STYLE –
TOTAL – POINT

ベテラン相手に一歩も引かない追走を見せる!
TOP 32 BATTLE vs. 目黒雄大(MARK II JZX100)
現場での作業では予選から生じたGR86のエンジン不調の原因を断定するまでには至らず、せっかく予選で結果を残した大湯選手に不安を残した状態で本番を走らせるわけにはいかないと、チームは東名パワード3.6Lを組んだ同スペックの2JZスペアエンジンへの交換を決断します。作業は夜通し行われ、メカニック一丸となっての努力によって日曜日朝の練習走行に万全の状態のGR86を持ち込むことができました。
そして大湯選手がチームの期待を背負って戦うトップ32の対戦相手はベテランドライバーの目黒選手との組み合わせとなります。今週初のドライでの本番走行となった大湯選手が先行となり、アクセル全開で追走がスタート。すると、そのエンジンの快調さを示すように目黒選手を大きく引き離して1コーナーへ飛び込み。そのまま単走予選の上位通過が約束されるような見事なドリフトを見せたのでした。

後追いとなった大湯選手は先行の大きいフェイントを陽動に使うテクニックを駆使した縦振り気味の進入に合わせ一歩も引かないドリフトを見せます。前車の見えない煙のなかを臆せず2ゾーンを立ち上がると、3ゾーンではステアリング操作でもたつくも互角に近い追走でした。
するとジャッジによる走りの評価は大湯選手に3票。特に先行時を見比べた際の走りの良さが高く評価されたことで、トップ16へ勝ち上がることとなりました。

1本目で悲運のドラシャブロー!
TOP 16 BATTLE vs. 髙橋和己(BMW E92)
トップ16でのバトルは混戦のシリーズランキングで暫定1位のTMSレーシング髙橋選手が相手となります。格上相手となるものの、トップ32敗退が決まったケン・グシ選手とのポイント争いを繰り広げている相手ゆえにチームは「大湯都史樹ならなにかやってくれるんじゃないか?」と、富士で草場選手を破ったようなアップセットを期待して行方を見守っていました。
そんな緊張感のもと両者がスタート地点につき、大湯選手の後追いでシグナルがスタート。ぐんぐんと加速していく高橋選手のBMWに対して、GR86は直後にスロー走行。LSDによって自走はできているものの片側の駆動がかかっておらず、おそらく片側のドライブシャフトがブローしたとの無線がピットに入ります。
そしてマシントラブルもスタート後の出来事だったことで、1本目の走行は成立したうえで大湯選手の後追いポイントがゼロということが確定。しかし、このまま大湯選手とGR86が2本目を走ることを諦めてこのラウンドを終えてしまうことはチームの選択肢にありませんでした。追走中の修理時間として与えられる5分の最中にドライブシャフトを交換すれば、2本目に可能性を繋げられる。すでに徹夜でのエンジン交換によってメカニックは疲労困憊でしたが、最後の力を振り絞って限界と言われた5分間でのドライブシャフト交換をこなし、スタート地点に再び大湯選手を送り出しました。

ここで大湯選手にできることは自身にとってベストの先行の走りを見せ、髙橋選手とBMWに万が一が起こった際に向けて可能性をつなげることだけ。そしてその通り、大湯選手が最後に見せたドリフトは今週を通じて自身ベストと言って差し支えなく、見るものに感動を与えるほどの鬼気迫るものがありました。
トップ16敗退、最終順位12位という結果に終わったものの、雨の予選を克服し追走でも十二分に存在感を残したことで、改めて大湯選手の開幕戦での結果がフロックではないことを証明するラウンドとなったと言えるでしょう。

Tournament Result Pos.12
2025 FORMULA DRIFT JAPAN Point Ranking Pos.23

Driver comments
大湯都史樹
「髙橋選手との後追いを走ることができず、最後はトラブルで結果が決まった状態で2本目を走ることになってしまい残念でしたが、その前の予選後のエンジン交換もあったし、5分の作業で2本目を走れる状態に直してもらって、チームの皆さんには本当に感謝しています。
単走はずっと課題にして取り組んでいた、いつでも点が出せる安パイな走りを意識した走りが少しずつ形にできて、雨の予選を通ることができました。次の奥伊吹はかなり狭くて路面もバンピーな走ったことのない色々と未体験なステージなんですが、そんなコースも走れるぞっていうところを見せたいですね」
performed by Team KAZAMA
[THE OTHER SIDE] FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 ケン・グシ×IS500
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