
練習から余裕ある滑り出し!
鈴鹿ツインにおいて、最後は自分のミスによって勝敗が決してしまうという悔しい結果だったケン・グシ選手はエビスサーキット主催の練習走行が行われる木曜日から早くも臨戦態勢へ。自身がアメリカフォーミュラドリフトのキャリアで慣れ親しんだ、コンクリートウォールギリギリをかすめるハイレベルなマシンコントロール技術を要するドリフトを披露し、その姿には昨年の単走優勝からくる余裕すら見て取れました。

続く金曜日の練習走行では審査区間にゾーンが描かれ、目標物も配置されることで、より本格的な本番を想定した練習が各ドライバーによって行われます。
多くのドライバーが苦戦していたのは、下りを減速しながら角度を付け、アクセルによってその後の角度とラインをコントロールする高い技術が求められる1コーナーへの進入です。少しでもタイミングや角度がずれれば、その後につながるウォール沿いのゾーン2へも影響が波及し、全体のポイントロスは免れません。

対して目標となるのはアウトに置かれたパイロンと、ゾーンを示す白線のみ。しかし、ケン・グシ選手の走りは見事でした。それらを寸分の狂いなく走り抜けていく姿に、チームの期待感も高まっていきました。

ここまで好天の続いた2日間と打って変わって、土曜日は朝から小雨のぱらつく微妙な天気に。単走予選が始まる午後が明確な雨予報なのに対して、午前の練習走行中は雨粒が降ってくるタイミングこそあれど、路面は乾き続けるもどかしいものとなってしまいます。

2年連続の単走優勝をゲット!
ウェットコンディションでの初走行に合わせ、全選手に対して1本目の走行前に1本のチェックランが与えられたなかで行なわれていく単走予選。ラバーの乗り切ったアスファルトに対しての雨は容赦なく路面のμを削いでいきます。
ただでさえドライにおいても難度が高く、さらに雨ではワンミスでゼロポイントに繋がる危険性のあるセクションが多数存在するコースに並みいるエキスパートも大苦戦。79ポイントが最高得点という状況下でケン・グシ選手の出番がやってきます。
しかし、全く同じ状況だった鈴鹿ツインにおいて予選トップと同率2位になったケン・グシ選手とIS500との走りは今回も完璧でした。ここまでにライブ配信を見ることで路面の滑りやすさをある程度想定済みだったと言い、ウォームアップの時点で高得点が期待できる走りを披露。それにより想定とのグリップ感のズレを修正し迎えた本番1本目。

コース幅を目いっぱい広く使うフェイントから深く安定した姿勢でゾーン1へ進入。途中退場もなくラインをきっちりと確保し、振り返してウォールを舐めるように超接近ドリフトを見せます。途中右テールが壁と接触するほどの走りでしたが、熟練のテクニックで姿勢変化も最小限に。タッチアンドゴーからゾーン3もキレイに抜け出してフィニッシュ。ここまで誰も超えられなかった80ポイントをオーバーする82ポイントの評価を受け、暫定1位のポジションに立ちます。
直後に高橋選手がケン・グシ選手に次ぐ2番手になる80ポイントを記録するもそこまで。2巡目の走りにおいても誰もケン・グシ選手が1本目に記録した82ポイントを超える選手は現れず、高橋選手に対して鈴鹿ツインのワンツーが逆転するリベンジを果たす格好で、雨と壁という二つの得意を味方にしたケン・グシ選手がエビス西ラウンドにて2年連続の単走優勝の快挙を成し遂げました。

Qualifying Result Pos.1
JUDGE SCORE 1st Run
LINE 31
ANGLE 26
STYLE 25
TOTAL 82 POINTS
JUDGE SCORE 2nd RUN
LINE 29
ANGLE 24
STYLE 22
TOTAL 75 POINT

相手の動きを読んだ走り!
TOP 32 BATTLE vs. 中村マイキ(CROWN)
予選1位通過を果たしたケン・グシ選手のトップ32の対戦相手は、昨年チームメイトでもあった中村マイキ選手となりました。鈴鹿ツインでデビューしたニューマシンのクラウンを持ち込んだものの、セットアップが決まらずに予選はボーダーラインぎりぎりの32位で通過。ここでケン・グシ選手に求められたのはこれまでの練習通りの走りをすることでした。
まずはケン・グシ選手先行の大きなフェイントモーションでのアプローチに対して、中村選手はストレート気味のロングサイドで外から合わせる格好に。すると、後ろを走る中村選手は浅いアングルから角度を足そうとした瞬間にたまらずスピン。ケン・グシ選手が大幅なリードをしての入れ替えとなります。
後追いとなったケン・グシ選手は優位を保ったまま冷静なドリフト。相手の動きを見極められる、近づきすぎず離れすぎずの絶妙なポジションをキープしコースをクリア。危なげない走りでケン・グシ選手がトップ16へ勝ち進みました。

電装系トラブルの失速により接触!
TOP 16 BATTLE vs. 小橋正典(GR SUPRA)
昨年は予選1位を獲得しながらもトップ16にて相手の失速に対する追突という悔しい負け方を喫したケン・グシ選手。だからこそ、今年は決して負けられない意気込みで挑むトップ16の対戦相手となったのはエビスサーキットをホームコースとし、今大会の優勝候補の筆頭として数えられるA90スープラの小橋選手。一瞬でも油断した方が負けるトップ同士のバトルとなりました。
まずはケン・グシ選手先行での1コーナーへのアプローチ。いつもの早めに深いアングルを付けて進入するケン・グシ選手に対して、ズバッと切れ込む超接近ドリフトを見せる小橋選手。続いてゾーン2のウォールエリアを壁ギリギリに攻めるケン・グシ選手に小橋選手は同じ角度でのパラレルドリフトを披露。続いて右のインクリップにかけても懐へ入る小橋選手、とその瞬間先行のケン・グシ選手が失速。加速区間ゆえに小橋選手も避け切れず接触してしまいます。
直後は不動となってしまうケン・グシ選手のIS500でしたが、なんとかエンジンを吹き返してチームカザマのピットへ帰還。5分ルールでの修理を試みます。

そして、応急処置を施しスタート地点へ戻ると、続いては入れ替えてのバトルがスタート。先ほどの失速によるドリフト中断というディスアドバンテージのあるケン・グシ選手でしたが、わずかな望みにかけた全身全霊での後追いを披露します。
全開加速から1コーナーでは相手よりもワンテンポ早いタイミングで振り出すケン・グシ選手。角度も相手より深く、それでいて距離も接触寸前の臨戦態勢。それゆえ一瞬振り返しのテンポをロスしますが、得意のウォールにかけてはしっかりと距離を詰めてビタビタの壁際ドリフトを見せます。そしてインクリップをクリアし、最後のゾーン3を抜けていこうか、というタイミングでケン・グシ選手がまたも失速し、フィニッシュを目前にしてのドリフト中断となります。
すると2本の走りの結果はどちらも小橋選手に軍配。パーフェクトウィンの夢は電装系のマシントラブルにより叶うことなく、トップ16での敗退が決まりました。

Tournament Result Pos.9
2025 FORMULA DRIFT JAPAN Point Ranking Pos.3

Driver comments
KEN GUSHI
「もちろん予選1位がとれたことは嬉しいのですが、あくまでトーナメントで優勝することが目標ですから、最後まで油断をせず集中して走ろうというのはずっと心に決めていました。
木曜日からマシンも自分もずっと調子の良い状態で走れてきて、強敵の小橋選手を相手に上手く走れていたから…最後はとても残念です。SUGOは自分の相性の良いコースでもあるので、気持ちを切り替えて次戦に挑みたいと思います」
Manager comments
風間 俊治
「去年はケン・グシ選手の予選トップから追走トップ16でつまらない負け方となり、その悔しい思いから今年は予選で良い結果が出ても決して気を抜くなと伝えていたのですが、今度はマシントラブルにより同じ結果となってしまいました。
トラブルの原因は電装系でした。3年間戦ってきたIS500の疲労がここで蓄積しているのかもしれませんし、言い訳にはなってしまいますが、なぜこの大事なタイミングで…というのが正直な感想です。いい走りが出来ていたドライバーにも申し訳なく、今年も素直に単走優勝を喜べない結果になり無念でした。
大湯選手はとても忙しいなかでも木曜日の練習から合流できるということだったので初日から全力でサポートする体制で挑みましたが、練習中に期待していた雨は降らず、2戦連続で彼の最も痛いところを突かれるような天気のめぐり合わせになってしまったのは、これもちょっと運がありませんでした。SUGOは初戦に結果を残した富士と似ている要素の多いコースなので、次戦こそは巻き返してほしいですね。
個々について振り返るとツキのなかった今大会ですが、シリーズランキングという点で見れば上位陣のトラブルや番狂わせが多かったおかげでケン・グシ選手がポイント差の少ないシリーズ3位に残れているのは不幸中の幸いです。だからこそ、これをチャンスとしてとらえ、次のSUGOでしっかりとポイントを重ね、後半戦のスタートダッシュを決めたいと考えています」

performed by Team KAZAMA
[THE OTHER SIDE] FORMULA DRIFT JAPAN Round.1 大湯都史樹×GR86
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