
IS500の3シーズン目が開幕!
アメリカ発祥のドリフトイベント、フォーミュラドリフトの日本シリーズとして始まったFDJの11年目のシリーズが開幕。初年度から参戦を続けているチームカザマにとっても同じく11年目となるシリーズです。

悲願のシリーズチャンピオンを目指すケン・グシ選手の相棒となるマシンは今年もレクサスIS500 Fスポーツパフォーマンス/ドリフトとなります。初年度から相当のポテンシャルを持ち合わせたマシンに少しずつアップデートを重ね、トップチームとの争いのなかで生まれるドライバーからの細かい要望を反映していったことで、昨年はシリーズ2位の成績を収めるに至りました。

これまでも重量級の4ドアボディを様々な手段で軽量化してきましたが、今年のオフシーズンはさらに徹底した軽量化を実施。昨年比数十キロのスリム化を達成し、どんなタイミングからもドライバーの意のままに操作可能な瞬発力を手に入れています。

木曜日、チームが搬入を開始する午前の天気は曇りだったものの、走行が行なわれる午後からは雨が降り出しあいにくのウェットコンディションへ変化。土曜日からの本戦ではドライコンディションが予想されていたため、通常なら走行自体が無駄となってまうことも考えられる状況でした。
しかし、今年は年間を通しシリーズチャンピオンを目指すことを念頭に考えるケン・グシ選手にとっては、いずれ訪れる雨のラウンドでのIS500の走りを成熟させる絶好の機会としてとらえ、レインコンディションでのセットアップを試していったのでした。

金曜日の午後からは満を持してついにケン・グシ選手にとって今シーズン初めての公式練習がスタート。昨年までにマイナートラブルを解消しきったIS500の感触が抜群だったことに加えて、今年のアップデートである数十キロの軽量化の効果が体感できるほどに表れていたと話します。
その効果は軽量化に合わせて乗り方やセットアップを変更する必要があるほどだったと言い、今まで以上のポテンシャルを発揮するIS500に周囲からの期待も膨らんでいきました。

練習走行において意識したのは追走時のライン。100Rまでのアプローチに白線によるセンターラインが設けられ、先行車がインカットした時点で大幅な減点がされることが審査方針として告げられていたため、単走の走りと追走での先行の走りをなるべく変えずに挑めるような意識で走り方を組み立てていったと言います。

2本目のチャレンジは実らずも予選通過!
予選が始まり、昨年以上の来場者が訪れ、多くの観客で賑わうギャラリースタンドを今年初エントリー、FDJ2からのステップアップ勢が駆け抜けていきます。走行順は昨年シリーズポイントのリバース順となり、シリーズ2位だったケン・グシ選手は最後から2番手という後方で出番を待ちます。
シリーズ開幕の緊張感からかポイントの出ない走りをする選手も多かったなか、口火を切ったのは斎藤大吾選手でした。マシン特性を最大限に活かしたスピードとアングルを両立させた走りで93ポイントを獲得。ケン・グシ選手も90ポイント台の高得点を目指した勝負に出ます。

イニシエーションゾーンよりも素早い振り出しでドリフトを続けながらアクセル全開で第1ゾーンへアプローチ。深い角度のままゾーンを通過すると素早い振り返しで角度を付けてインクリップへ飛び込んでいきます。ここで若干角度の修正が入ったものの、全体を通しての角度は十分で全ゾーンをしっかりと通過するまずまずの内容。結果は82ポイントを獲得し、1本目終了時点で予選通過はほぼ約束されたものとなます。
2本目の高得点を狙ってのチャレンジは失敗したものの、1本目の82ポイントで19位通過となり、無事に決勝トーナメントへ進出することができました。

Qualifying Result Pos.19
JUDGE SCORE 1st Run
LINE 26
ANGLE 30
STYLE 26
TOTAL 82 POINTS
JUDGE SCORE 2nd RUN
LINE –
ANGLE –
STYLE –
TOTAL – POINT

深い角度の進入に相手は対応できず!
TOP 32 BATTLE vs. 朱元路(BMW E92)
トーナメント初戦、トップ32の対戦相手は中国人ドライバーの朱元路(ジェリー・ズウ)選手。相手の車速が速いことを予測してのケン・グシ選手の後追いは1ゾーンまでにしっかりと加速態勢を作ってのスタート。その後振り返しのタイミングもしっかりと合わせ、各ゾーンを通過しつつ常に相手の懐へ入ったハイレベルな追走を披露します。

先行となる2本目は単走を意識したコース幅をいっぱいに使う角度を意識したドリフトを見せたケン・グシ選手。対する朱選手は1ゾーン出口のタイミングが合わず、浅い角度で振り返してインクリップへアプローチ。その最中にドリフトを維持できない瞬間があり、一方で先行、後追いともに安定したケン・グシ選手が勝ち上がりとなりました。

ワンモアタイムの末にクラッシュで決着!
TOP 16 BATTLE vs. 斎藤太吾(GR Supra)
トップ16での組み合わせは予選3位通過の斎藤大吾選手。練習日から誰よりも速いスピードで審査区間を駆け抜け、また追走巧者と知られる斎藤選手とのバトルは、前日にトーナメントラダーが発表された瞬間から今日の山場になると考え、全試合で最も集中力を費やしたタイミングだったとケン・グシ選手は振り返ります。
その1本目の追走は両者一歩も引かないビタビタの追走を見せ、ケン・グシ選手は今村ジャッジからの票を集めるも、他2名のジャッジは互角の判定。1本目の走りでは決着が付かず、ケン・グシ選手にとって今季初となるワンモアタイムへもつれ込みました。

2本目の追走において、勝敗を分けるのは100Rを通過する1ゾーンへのアプローチだと両選手が考えていました。ケン・グシ選手は相手のスピードを想定し、かなりイン側の最短距離を通ってドリフトをスタート。一方で斎藤選手は珍しく振り出しに失敗し、かなり浅い角度かつ速度が乗りすぎた状態で1ゾーンへ飛び込んでいきます。ドリフトアングルは維持しているものの、ゾーンを外へ飛び出すと考えた斎藤選手は立ち上がりへ向けて減速。そこへ通常のラインを意識して加速状態で飛び込んできたのがケン・グシ選手でした。
100Rのアウトクリップという最も車速が乗る区間での両者のクラッシュは、車内のケン・グシ選手がこれまでのドリフトキャリアで最も衝撃を感じた接触だったというほど。しかし幸いにもIS500のダメージは少なく、2台の衝撃を受け止める形で自走のできなくなった斎藤選手のスープラのレッカー作業中に行われた長い審議の末、クラッシュの原因は斎藤選手による加速区間中の減速にあるとされ、ケン・グシ選手は被害側として15分間の修理時間、斎藤選手は通常の5分間の修理時間を用いての復帰が課せられました。
ですが、斎藤選手のマシンのダメージは大きく5分間での修理は間に合わず。相手のミスが原因という形にはなりましたが、想定していたトーナメントの最大の壁を越えることができたのでした。

昨年SUGOのリベンジを達成!
GREAT 8 BATTLE vs. 張盛鈞(BMW E92)
グレイト8の戦いは台湾出身、昨年SUGOでチャンピオン経験のある張盛鈞(チョウ・ションジュン)選手です。まず、先行となったケン・グシ選手のドリフトは、まるで後追いの選手がいることを忘れてしまったかのような単走を彷彿とさせるきれいな走りを披露。しかし、スタートからのタイミングを全く合わせられなかった張選手は後追いでのアドバンテージを全く得ることのできない走りとなります。
そして順番を入れ替えてからは、スタートから同時振りでのアプローチを見せたケン・グシ選手が離されても慌てることのないドリフトで前半部分のアドバンテージを稼ぎ、対する張選手はラインのミスが目立ったドリフト。昨年SUGOファイナル4でのリベンジを果たしたのでした。

髙橋選手の富士4連覇を阻止!
FINAL 4 BATTLE vs. 髙橋和己(BMW E92)
ファイナル4の対戦は富士スピードウェイでの開催において3連覇を続けているほどの部類の強さを誇る髙橋和己選手と戦います。
ケン・グシ選手が後追いで始まった1本目、相手の速度に合わせきれない走りでゾーン1へのアプローチで距離を離されるも、対する髙橋はラインが甘い格好に。しかし、そこから距離を詰めるためゾーン2以降がショートカット気味になったことでケン・グシ選手は審査において不利な状況に追い込まれます。

しかし、先行と立場が変わってからは、気負うことなくその時にできるベストな走りを心がけているケン・グシ選手に対して、連覇のかかる髙橋選手へのプレッシャーの大きさからか、1ゾーン立ち上がりでドリフトが戻ってしまう大きなミス。
するとジャッジの旗は1本目、2本目ともに致命的なミスのなかったケン・グシ選手へ。髙橋選手の富士4連覇を阻止し、今季初の決勝戦へ駒を進めることとなりました。

FDドライバー対決を制して初優勝!
FINAL BATTLE vs. 箕輪大也(GR COROLLA)
決勝戦はレッドブルカラーのGRカローラを駆り、今年から高校1年生となった箕輪大也選手との対決です。どちらもヨコハマタイヤユーザーであり、左ハンドルのマシン、そしてアメリカのフォーミュラドリフトプロシリーズに参戦している共通点の多い者同士での決勝戦となりました。
すると1本目で見せたキャリアでのFDJ初優勝をかけてここまで勝ち進んできたケン・グシ選手の追走は、まさにゾーンに入っていたと言って差し支えないほどの完璧なものでした。相手よりも早いタイミングでの振り出しからドアトゥドアでのゾーン1通過、振り返しも完全に相手の動きを読み切った走りでケン・グシ選手が先に姿勢を作ってゾーン2へ。あとは1車身もない超接近を保ったままゴールへ駆け抜けていった2台の姿は、間違いなく大会中のベストと呼んでふさわしい追走でした。

完全にゾーンに入ったまま、先行に入れ替えての走りをスタートするケン・グシ選手。先行がキレイにゾーン1、2、3を通過していくのに対して、箕輪選手は距離を詰めることはできるものの、どうしてもライン、角度が甘くなっていました。

ワンモアタイムもなく、1度の走りで審査が決着し、結果発表のためにアドバンコーナーに呼び出された2人。そこで始まったのは赤と青の2台のマシンによるアドリブでのドーナツターンでした。
そこにあるのは決勝戦を走り切った満足感なのか、レクサスRCからIS500に乗り換え、初優勝までの4年に渡る思いを振り返っているのか、マシンを降りてヘルメットを脱いでからも決して表情を崩さないケン・グシ選手の姿が箕輪選手の横にあります。

しかし、走り終わってから長い間を経て、ついにその瞬間がやってきました。MCの口からケン・グシ選手のナンバーである21番がコールされた瞬間、名前が呼ばれるのを待たずに両手を天に突き上げ感情を爆発させたケン・グシ選手。どこまで近づいたと思っても、あと一歩という場面で届くことのなかった、FDJ初優勝の嬉しさを表すのに言葉はいりませんでした。

Tournament Result Pos.1
2025 FORMULA DRIFT JAPAN Point Ranking Pos.1

Driver comments
KEN GUSHI
「念願だったFDJ初優勝を、まさかの開幕戦の富士スピードウェイで、しかもレクサスのスタッフの方々もいらしている最高のタイミングでできたことが凄く嬉しいです。
シーズンオフの軽量化は乗っていて別物だと思うほどに効果があって、マシンの動きが分かりやすく、自分が思っている通りに操作できる理想の状態に仕上がりました。
3年間でここまでの良いマシン、しかも決勝戦まで壊れない頑丈なマシンを作ってくれたメカニックのみなさん、チームのスタッフ、スポンサーのみなさん、全員に感謝しています。ですがまだシーズンは始まったばかりなので、この勢いのままシリーズ優勝を狙えるよう集中力を切らさずに戦っていきたいと思います」
Manager comments
風間 俊治
「今回はすべてが出来すぎと言えるほど、何もかも上手くいったラウンドでした。細かいところでは反省点も多くあるなかで、結果オーライながらも優勝できたことは、これまで2位3位に終わって運に見放されていたことも少なくなかった時の見返りがやっと来てくれたのかなという感じです。
トーナメントの組み合わせを見た時から、敵は(斎藤)ダイゴ選手一人だと考えていました。1本目はIS500の軽量化も効いた走りで互角以上の走りを見せたと思ったんですが、2本目はこちらも申し訳ない形で終わってしまって。でも他の追走はすべて作戦通りに進み、どれも100点の内容でした。
また今年は大湯選手をチームとして迎えたわけですが、ドリフトとは全く別のレースというジャンルで真剣勝負をしているトップドライバーが同じチームに来るということで、チーム全体の意識も良い意味でもガラリと変わりました。大湯選手本人も、1本走るごとに別人のように成長していく対応力の高さはさすがで、これが2戦、3戦と続くことできっと上位に食い込むようになるのだと、手応えを感じさせてもらう内容でした。
今回はレクサスをチームの顔のクルマに選んでから初めて、ケン・グシ選手にとっても念願のFDJ初優勝を果たすことができ、最高のスタートダッシュを切ることができました。しかし、6戦あるシーズンのなかではただの1勝にすぎません。ここからはどれだけ安定して毎戦ポイントをゲットし、リードを維持できるかが重要だと考え、改めてエンジン、セッティングを見直して次戦以降に挑んで参ります」

performed by Team KAZAMA
[THE OTHER SIDE] FORMULA DRIFT JAPAN Round.1 大湯都史樹×GR86
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