
8の字&ウォールはまるで海外ステージの様相!
開催前週に知らされた例年と異なる新レイアウト採用のニュースにより、全チームに衝撃が走りました。特に衝撃的だったのが、1コーナーを逆走し、ショートカット区間を交差するというエビスサーキット西コースにおいて今まで誰もが経験したことのないレイアウトだったこと。さらに1コーナーのアウト側を新たに設置するコンクリートブロックを用いたことで、ただの逆走とも異なるFDJ2024専用の特別仕様となったのです。
そのため、急遽このレースウィークに限りエビスサーキット主催の西コースでの練習会を新レイアウトとすることが発表され、非公式ながら事前の練習をする機会が得られたのでした。

今回、チームカザマは木曜日から練習のための会場入りを予定していたことは幸運でした。あくまでサーキット主催の非公式練習日のため、どこから区間が始まるのかといった細かいゾーン設定など、本番と全く同じラインをトレースすることは不可能ですが、それを想定しながらのテスト走行により、金曜日からは走行機会が12本までしか許されない公式練習での本番ゾーンレイアウトへの準備を進めることができました。

2日間の練習を経て、単走予選へ向けた追い込みの土曜午前の練習走行のタイミングです。金曜日の走りを見た他チームからは「まずはケン・グシの走りをトレースするのを目指す」というような目標も聞かれるほどの仕上がりを見せていたケン・グシ選手だけあって、この日も順調な滑り出しを見せます。

今戦からリヤ用に投入した新たな減衰設定によるDG-5車高調とコースの相性も抜群で、壁ギリギリを長時間キープし続けるアウトゾーン2はリヤを沈み込ませアクセルを抜くことなくトラクションをかけたままオンザレールの白煙全開ドリフトを披露。続く単走予選へ意識を高めて行ったのです。

シーズン3年目で待望の単走優勝をゲット!
今大会において多くの選手にとって鬼門となったのが、脱出へ向けてラインの自由度が狭まるL字コーナーの奥側をキープする必要のあるゾーン1の攻略です。ここでのタイミングが合わずにスピンやコース逸脱をするドライバーが続出し、60点台、よくて70点台という評価の走りがしばらく続くこととなりました。
ですが、上位陣の走行が近づくに連れ80点台をマークする選手の姿も見られるように。こうなると観客の期待は、誰が最初に90点を超えた走りを見せるのかに集まります。そして、いよいよシリーズ3位のケン・グシ選手の走行順がやってきました。
スタート地点から坂を下っていくメインストレートを全開で加速。大きなフェイントモーションから早めに角度を付け、アクセルを踏んで深い角度をキープしたまま1ゾーンの進入へ差し掛かります。ゾーンよりもわずかにアウト側から進入したことで曲率がきつくなる出口へ向けてはスムーズな立ち上がり、難関のゾーン1を見事にクリアします。
そして、1ミスで点数だけでなくマシンにも被害が及んでしまうプレッシャーのかかる、コンクリートウォールで作られたゾーン2へ振り返しでのアプローチ。ここでも早めの姿勢変化、そしてウォールに差し掛かる場面でひと呼吸入れ角度を合わせると、リヤバンパーの先端で壁をタッチし続けるかのごとくギリギリを攻めた走りで完璧にアウトゾーンをトレース。
8の字の交差地点でも、自らの白煙で目標を見失うことなくインクリップを確保しフィニッシュラインへ、冷静さを保ち続けた走りで後半セクションをクリアします。
おそらく、実況席はもちろん観客の目にもここまでの単走予選で最も良い走りだった印象のなか、アナウンスされた得点は今大会初の90点超えとなる93ポイント。ラインジャッジはわずかに1ポイントを逃すだけという圧巻の34ポイントを獲得し、1本目の暫定1位の座を確保します。

ただ、それでもゾーン1への飛び込みや、細かい場面でのミスをケアしながら走っていたというケン・グシ選手。2本目はそれを払拭するべく、よりアグレッシブさを意識した走りでこちらも89ポイントという高得点を残しますが、より完璧に近かったのは自身の1本目の走りのほうでした。
最終結果は90ポイントで予選2位の高橋選手に3ポイントの差を付ける形での単走優勝。IS500での参戦はもちろん、チームカザマにおいてはケン・グシ選手がファーストドライバーとなってから初となる単走優勝を3シーズン目にして獲得することが叶ったのでした。

Qualifying Result Pos.1
JUDGE SCORE 1st Run
LINE 34
ANGLE 32
STYLE 27
TOTAL 93 POINTS
JUDGE SCORE 2nd RUN
LINE 32
ANGLE 31
STYLE 26
TOTAL 89 POINTS
Driver comments by KEN GUSHI
「チームの皆さんの努力のおかげで、前回から本当にマシンの調子が良い状態をキープしていただいています。今回も新しい車高調のセットが上手く決まって、いつも以上にIS500を自分の思い通りに動かせるようになった。だからいつも表彰台のてっぺんを取るつもりで日本に来ていますが、今度こそ絶対に取る気持ちが強くなりました。
今回のレイアウトはもともとのコースを変えて作っているからなのか、ゾーン1とゾーン2どちらもコーナーのRがスムーズじゃなくて、徐々にキツくなっていく配置だったのがコースウォークをしたときに分かったんです。だからそこが難しいかなと思ったのですが、意外と走ってみたら合わせやすいコースという印象でした。壁すれすれを走るのはアメリカのレースで慣れていましたから。
実は、単走1本目は自分の予想以上の点数が出てびっくりしていたんです。最初のアウトゾーン1のアプローチが少し奥になったり、細かいところも左足ブレーキで調整する場面が結構多かったのですが、結果として上手くまとまって審査員に評価してもらえました。でも、練習から今回は優勝が狙えると思っていたからずっと楽しく走れて、本当にその通りになれて良かったです。
チームカザマで走り始めて3年目でやっと単走優勝をゲットできて嬉しい気持ちはありますが、単走はあくまで単走で、明日からの追走できちんと結果を残さないと意味がないと思ってます。今まで表彰台の2位と3位はありましたが、今度こそは絶対に勝って表彰台の一番上をとりたいです」

ケン・グシ選手の走りに後追いは合わせられず!
TOP 32 BATTLE vs. 雨谷雄一(SILVIA S15)
開催前の予報では雨が心配されていたものの、日曜日も昨日と変わらず晴天化のドライコンディションにて追走トーナメントを迎えることとなりました。単走では上位陣含む多くのドライバーを苦しめることとなった8の字レイアウトですが、追走でも左右の振り返しにより合計3度もの車体の抜き差しが行われることで、後追いがどれだけ前車のリズムに合わせられるかが攻略のキーとなります。
後追いの雨谷選手に対し、先行のケン・グシ選手はまるで予選の走りを再現するように手前からの素早い振り出しで大きく角度を付けた状態でゾーン1へ進入。対する雨谷選手は振り出しのスピードに全く追いつくことができず、ゾーン1を浅く追いかける形となります。
ゾーン2も壁ギリギリをアクセル全開で抜けるケン・グシ選手に対し、浅い角度でついていくので精一杯という様子の雨谷選手。ケン・グシ選手にとって大きなアドバンテージとなりました。
後追いに入れ替えてからのケン・グシ選手の走りは、戦いにおいて余力すら垣間見えた冷酷ともいえる差のあるものでした。1ゾーンへのアプローチはほぼ同時の進入、自身のベストラインとは異なり飛距離が足りずゾーンへ届かない先行に動じることなく角度と距離を合わせ続けます。ゾーン2は先行車よりも深い角度で壁ギリギリを攻めながら、立ち上がり手前で相手がアンダーステアのミスをしたことに素早く反応し衝突を回避。
追走においてもケン・グシ選手のコース攻略レベルの高さをアピールするような印象を残し、ベスト16へ勝ち上がりとなりました。

電装系トラブルの失速により接触!
TOP 16 BATTLE vs. 山下広一(BMW E92)
続くベスト16の対戦相手となったのは、なんと前戦鈴鹿ツインでは決勝戦においてケン・グシ選手との接戦を制し、2021年以来のラウンド優勝を果たした山下広一選手でした。山下選手は予選でミスが目立ち17位通過となったことにより、シリーズランキング2位と3位同士による実質決勝戦ともいえる組み合わせがベスト16のタイミングで生まれてしまったのでした。
その手前、奇しくもシリーズ1位の高橋選手がベスト32で敗退したことで、ケン・グシ選手は鈴鹿でのリベンジだけでなく暫定ランキング1位の可能性も生まれるという2つの意味で負けられない戦いとなったこの追走。ケン・グシ選手の先行で火蓋を切ります。
すると先に優位を取ったのはケン・グシ選手の方でした。ベスト32の戦いに続いてここでも予選を再現する鋭い振り出しのゾーン1進入を披露。山下選手も負けじと追いかけるも、一歩距離を詰めきれずに角度もケン・グシ選手に匹敵するほどではありません。僅かではありますが、その時点における両者の単走の完成度の差が現れるような戦いとなった1本目でした。

そして、ついにリベンジに王手がかかった状態で始まるケン・グシ選手後追いの追走。抜群の出足を切り、フェイントモーションでアプローチする山下選手より一瞬早いタイミングで振り出しをスタートするケン・グシ選手。山下選手の後追いよりも遥かに接近した状態でゾーン1へ飛び込んだ刹那、ケン・グシ選手より、ワンテンポ遅く角度を付けきったタイミングの山下選手に対して接触してしまいます。その後の加速で差をつけられないよう、後追いとしての姿勢づくりを早めに意識したケン・グシ選手の作戦が仇となった格好でした。
その接触が先行の山下選手の一瞬タイミングが遅れた減速によるものなのか、ケン・グシ選手の勇み足によるプッシングなのか、長い審査ののち、審査員はケン・グシ選手が原因のプッシングと判断。鈴鹿のリベンジは果たせず、単走優勝からのベスト16敗退という非常に悔しい結果で幕を閉じたのでした。
Tournament Result Pos.5
2024 FORMULA DRIFT JAPAN Point Ranking Pos.4

Driver comments
KEN GUSHI
「山下選手には最初から全力を出さないと勝てない相手だと思って勝負に出たのが裏目に出てしまいました。想定したよりも相手の飛び込みが遅かった。接触はそのスピードを読み間違えた自分の計算ミスです。今回は絶対に単走も追走も優勝するつもりでいたし、こんな結果になってしまってチームの皆さんに申し訳ないです。次戦のSUGOは自分もマシンも相性の良いコースですし、絶対に昨年の3位を超える優勝を目指して気持ちを入れ替えて挑みます」
Manager comments
風間 俊治
「今戦において、ケン・グシにとって初となるFDJでの単走優勝が実現できたのは、ひとえに皆様のお力添えのおかげであったことを感謝しております。しかし、結果としては前回の雪辱を果たすことができず、ベスト16止まりという非常に悔いの残るものとなってしまいました。
前戦からマシンが仕上がり、それにドライバーの調子も波に乗っていて、練習走行から充実した手ごたえを感じたまま単走優勝に繋がり、間違いなくトーナメントも優勝できる期待ができる内容だったのですが…。レースの世界は結果が全て、ということを改めて思い知らされるとともに、今のチームには『勝利への貪欲さ』が足りていなかったことに気づかされるラウンドとなりました。
次戦は昨年3位となった相性の良いSUGOであり、初優勝の舞台にふさわしい場だと考えています。今回味わった悔しさをバネに、チーム全員で優勝を勝ち取るために奮起します」

performed by Team kazama with Moty’s
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